原点

お店に来たことがある方は
この看板に見覚えがあるかと思います。

そうです。店のドアの上の中央に飾ってある　なんとも不恰好な看板です（笑


この看板は
宿り木の出発点であり

ワタクシが初めて独立を考えたきっかけになった露天販売で作ったものです。


ワタクシ　１０年の花屋流浪の末　
突然思い立って近所のス－パ－に飛び込みで年末の露天販売を申し込みました。

当時ワタクシはとんがっていまして（今もだろ）
どこへ行っても
最終的には円満退職は７件まわったうち１件しかできませんでした（笑


そうですね
花屋に長くいると（勤めていると）
大抵のことができるようになり
勘違いしてしまうんですわ（笑


「自分の店」だと。
「自分のもの」だと。

※人の土俵で相撲取ってるとはこのことです（笑


よくお店のオ－ナ－が自分のカラ－を押し付けると不平を言う方がおりますが
ワタクシも当時　そう思っていた１人でした。

ですが今独立して思うことは
オ－ナ－は「自分の店のカラ－」を守ることが仕事と思っています。
誰かのカラ－を守るためではない。
それをスタッフに継承させていくのが仕事です。

だから雇われている以上は
その店の意志とカラ－を守ることが　賃金をもらっていることの代償だと思ったりもします。

もちろん　ベ－スをその店のカラ－から外さなければ
あるていど自由でもいいと思います。
その中で発揮できるものがあれば　それが理想ですから。

そんなこんなで
いろいろあって　露天での再出発だったわけです（笑

守られている場所から　文句をいう事はとてもたやすいのです。
それをワタクシは初めて体感した。

誰も保障はしてくれない。
リスクも全て自身で負う。


けど

その代わりに　与えられるものは
全て自分のものです。


自分だけの評価です。


狭い場所でベニヤ板を立てただけの粗末な露天。
そこに初めて家の隅に転がっていた古木に
母の書斎から拝借した油絵の具で

スルッっと降りてきた植物の名前を
ためらいも無く書き込んだ（笑


それが
「宿り木」です。※看板には「ｙａｄｏｒｉｇｉ」と書いてありますがね（笑

以来ワタクシは
店を持つまでの数ヶ月
どこの露天に立っても
この看板を持ち歩きました。

場所が変わろうとスケ－ルが変わろうと
変わらないものはこの信念（看板）だけ。

いつか自分がリタイヤするとき
この看板を下げる時がくるでしょうが


それまでは　これはワタクシの原点









誰も頼らずに初めて全てを自分で選び取った証


後ろ盾も無く表舞台に自分だけを持って立つことを宣言した証







この汚れた看板には
手放すことの出来ない

多くの思い出と想いがつまっているのです（笑）