無駄にこそ夢を馳せる

Deep Within the Corners of My Mind



始まりの場所は新宿
時をいくつ重ねても変わらぬ
ワタクシの古巣




無駄を削って削って
攻めるよりも守ることで
生き残ってきたこの場所


でももう削るところが無い

最後に人を削って
もう最低限、これ以上は削れないというところまで花も資材も削り

残るものは
変化を嫌う体質のみ


その中で
自分自身で勝負してる人が居る

特別な花は何一つ無い
特別な技術もセンスも
特別安くも無い


では何で

彼女は何でこの店で勝負する？



それは彼女自身です。
人柄　情熱　気力

そういったものを全てもって立ち向かっている
この無重力のような空間で

一人で







出来る自由がある場所から
手を出すのは容易い


でもワタクシは　この人の何かの役に立ちたかったのだ。

たった一人で　この場所を背負おうとしている
勇気在る年上の友人のため


ワタクシに出来るのは
見せることだけだ

彼女に出来ないものや
彼女が知らない世界を

そして　少しこの日常とは違う風を送ることだ








無駄とはなんだろう

売れるものとはなんだろう

デ－タに基づいて無駄なものを排除し　スリムになる合理的に

けど物が動くとは
一部の無駄との比較によって生まれるものじゃないのか？

その無駄にこそ
人は夢を見て葛藤し　酔いしれ
けれども現実世界の中で身の丈にあったものを手にするのじゃないか

ではその無駄が無かったら
本当にその堅実なものたちは売れるのかな

夢の無い世界の中で
人は選び取ることは出来るだろうか



たとえ仕入れの２割が
その無駄と言われる売れない物たちだったとしても

それらに課せられた役割は
自身が売れていくことじゃない

彼らの役割は
惹き付けることだ

多くの人を魅了し
楽しさや　意外性や話題性を与えることだ

そのために存在している花
売れ残るが
心に残る






そしてまた
その場所へ足を運ぼうと思うほどに
記憶に焼きつく花

いつの日か手にしたいと思わせる
憧れにも似た花

















無駄を全て切り捨てて身軽になり

代わりに得たのは

たくさんあるのに
買いたい花がない店


そういう称号ではないのか






















宿り木という店は
その無駄の集合体だ（笑

ただ見せるだけに飾ってある売れないものを
無数に持つ

でも例えばうちが
そういったもの全てを
削ってしまったら
今の宿り木はそしてこれからの宿り木は
誰かの心に残ったろうか？




否






夢を見せる場所には
無駄は必ず存在する


その無駄を許容する懐が
在るか無いかです。